影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 既に全国で、気温の上昇による品質の低下(白未熟粒 の発生、一等米比率の低下等)等の影響が確認されている。また、一部の地域や極端な高温年には収量の減少も見られている。
  • 一部の地域では、気温上昇により生育期間が早まることで、登熟期間前後の気象条件が変化することによる影響が生じている。

東北

  • 山形県における 1980 年以降の気象推移が最高分げつ期のイネ生育に与える影響

秋田県

  • 出穂期以降の高温の影響により、白未熟粒の発生、胴割れ粒等の発生により、品質低下が見られている。
  • 出穂後の高温による品質の低下(白未熟粒の発生、一等米比率の低下等)等の影響が確認されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 全国的に 2061~2080 年頃までは全体として増加傾向にあるものの、21 世紀末には減少に転じるほか、品質に関して高温リスクを受けやすいコメの割合が RCP8.5 シナリオで著しく増加すると予測されている。
  • 高温リスクを受けにくい(相対的に品質が高い)コメの収量の変化を地域別に見た場合、収量の増加する地域(北日本や中部以西の中山間地域等)と、収量が減少する地域(関東・北陸以西の平野部等)の偏りが大きくなる可能性がある。
  • RCP2.6 及び RCP8.5 の両シナリオにおいて、2010 年代と比較した乳白米の発生割合が2040 年代には増加すると予測され、一等米面積の減少により経済損失が大きく増加すると推計されている。
  • CO2 濃度の上昇は、施肥効果によりコメの収量を増加させることが FACE(開放系大気CO2増加)実験により実証されているが、CO2濃度の上昇による施肥効果は気温上昇により低下する可能性がある。
  • 将来の降雨パターンの変化はコメの年間の生産性を変動させ、気温による影響を上回ることも想定される。様々な生育段階で冠水処理を施した試験では、出穂期の冠水でコメの減収率が最も高く、整粒率が最も低くなることが示されている。

東北

  • 冠水が水稲品種「あきたこまち」の収量および玄米品質に及ぼす影響

秋田県

  • 温暖化による作期の前進と、出穂後の高温の影響により、品質低下が懸念される。
  • 気温上昇による作期の前進と、出穂後の高温による品質低下の拡大が懸念される。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 高温登熟に対応した出穂期となるような田植え時期の目安の設定、高温でも登熟を促す水管理(出穂時の湛水管理、高温時の水のかけ流し、出穂30日後以降の落水)、適切な肥培管理(幼穂形成期における生育診断に基づく適切な追肥)、高温対策に有効な土づくり(作土深の確保、ケイ酸資材等の投入)を推進。
  • 田植え時期、水管理、土づくり、栄養診断に基づいた追肥及び葉色の維持など、対応策を指導(稲作指導指針)。
  • 高温登熟耐性品種の育成。

将来の影響に対する対応方針

  • 現在の技術対策に加え、高温耐性の強い品種の育成や導入等が必要になる。
  • 高温登熟耐性品種の育成。