影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 果樹は気候への適応性が非常に低い作物であり、2003 年に実施された全国的な温暖化影響の現状調査で、他の作物に先駆けて、すでに温暖化の影響が現れていることが明らかになった。
  • 果樹は、一度植栽すると同じ樹で 30~40 年栽培することになることから、気温の低かった 1980 年代から同じ樹で栽培されていることも多いなど、品種や栽培法の変遷も少なく、1990 年代以降の気温上昇に適応できていない場合が多い。
  • カンキツでの浮皮、生理落果、リンゴでの着色不良、日焼け、ニホンナシの発芽不良、モモのみつ症、ブドウの着色不良、カキの果実軟化など、近年の温暖化に起因する障害は、ほとんどの樹種、地域に及んでいる。
    ・リンゴでは、食味が改善される方向にあるものの、果実が軟化傾向にあり、これが貯蔵性の低下につながっている。
  • 一部の地域で、気温上昇により栽培適地が拡大している樹種がみられる。

秋田県

  • リンゴとニホンナシは春先の低温・降霜による発芽不良や結実不良、遅霜によるサビ果、降雹によるキズ果の発生など収量や品質に直接影響する事象が増加傾向にある。
  • リンゴでは着色不良、日焼け果、外みつの発生、モモではみつ症、ブドウでは着色不良のほか、ほとんどの樹種で毎年のように結実不良が問題となってきている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • ウンシュウミカンについて、栽培適地は北上し、内陸部に広がることが予測されている。RCP8.5 シナリオを用いた予測では、21 世紀末に関東以西の太平洋側で栽培適地が内陸部に移動する可能性が示唆されている。
  • リンゴについて、21 世紀末になると東北地方や長野県の主産地の平野部(RCP8.5 シナリオ)、東北地方の中部・南部など主産県の一部の平野部(RCP2.6 シナリオ)で適地よりも高温になることや、北海道で適地が広がることが予測されている。
  • ブドウ、モモ、オウトウについては、主産県において、高温による生育障害が発生することが想定される。露地栽培の‘巨峰’について、RCP4.5 シナリオを用いた予測では、2040 年以降に着色度が大きく低下する。
  • 二ホンナシについて、一部の地域では、自発休眠打破に必要となる低温積算量が減少し、21 世紀末には沿岸域を中心として低温要求量が高い品種の栽培が困難となる地域が広がる可能性がある。
  • 果樹の栽培が難しかった寒地では、果樹の栽培適地が拡大することが予測されている。全球の地上気温の平均が 1990 年代と比べて 2℃上昇した場合、北海道では標高の低い地域でワイン用ブドウの栽培適地が広がる可能性がある。また、亜熱帯果樹のタンカンは、現在の適地は少ないが、気温上昇に伴い栽培適地が増加する可能性がある。

秋田県

  • 各樹種で発芽不良や結実不良、遅霜や降雹によるキズ果や着色不良による品質低下が顕著になる。強風や台風による枝折れや落果、豪雪による施設倒壊や樹体被害の増加が懸念される。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 秋田県果樹試験場の中長期計画(平成26年~令和3年)に基づき、基本方針Ⅱに掲げた「温暖化等気象変動及び機械化に対応した高品質果実の安定生産」により関連した試験研究を実施している。

将来の影響に対する対応方針

  • 研究課題名「温暖化等気象変動及び機械化に対応した高品質果実の安定生産(R3~R12)」の中で、本県の気象に適応した優良品種を選定する。