影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 農業生産基盤に影響を及ぼしうる降水の時空間分布の変化について、1901~2000 年の最大 3 日連続降雨量の解析では、短期間にまとめて強く降る傾向が増加し、特に、四国や九州南部でその傾向が強くなっている。
  • また、年降水量の 10 年移動変動係数をとると、移動平均は年々大きくなり、南に向かうほど増加傾向は大きくなっている。
  •  全国のため池管理では、少雨(少雪)の頻度が増加したことにより、貯水量が十分に回復しなかった、受益地で用水不足が生じたといった問題が発生している。さらに、全国の排水機場管理に関しては、大雨・洪水により年間のポンプ運転時間が増大・拡大しているといった変化が生じている。
  • コメの品質低下などの高温障害が見られており、その対応として、田植え時期や用水時期の変更、掛け流し灌漑の実施等、水資源の利用方法に影響が生じている。

秋田県

  • 近年の排水機場管理に関して、集中的な大雨時における排水機の能力不足により、湛水被害が増大している。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 水資源の不足、融雪の早期化等による農業生産基盤への影響については、気温上昇により融雪流出量が減少し、用水路等の農業水利施設における取水に影響を与えることが予測されている。具体的には、今世紀末の代かき期において北日本(東北、北陸地域)では RCP2.6 シナリオでも利用可能な水量が減少し、RCP8.5 シナリオではこれらに加えて西日本(近畿、中国地域)や北海道でも利用可能な水量が減少すると予測されている。一方、梅雨期や台風期にあたる 6~10 月では、全国的に洪水リスクが増加すると予測されている。
  • 降雨強度の増加による洪水の農業生産基盤への影響については、低標高の水田で湛水時間が長くなることで農地被害のリスクが増加することが、将来の大雨特性の不確実性も踏まえた上で予測されている。
  •  全国を対象として、気候変動による中長期的な降水変化がため池に及ぼす影響を分析した結果、RCP2.6、RCP8.5 の両シナリオにおいて、大雨注意報の発表回数が 21 世紀末に増加するため、ため池管理にかかる労力が増加すると予測されている。また、RCP2.6、RCP8.5 の両シナリオにおいて、21 世紀末では大雨時のため池水位が設定された洪水位を超過する可能性が増加すると予測されている。

東北

  • CMIP5 の 5 つの気候モデルから出力された 11 通りの気候シナリオと分布型水循環モデルを用いて評価した研究では、今世紀末(2081-2100 年)の代かき期において北日本(東北、北陸地域)では RCP2.6 シナリオでも利用可能な水量が減少

秋田県

  • 水資源の不足、融雪の早期化等による農業生産基盤への影響については、気温上昇により融雪流出量が減少し、用水路等の農業水利施設における取水に影響を与えることが予測されている。 ,梅雨期や台風期にあたる6~10月では、洪水リスクが増加すると予測されている。
  • 気候変動による中長期的な降水変化がため池に及ぼす影響を分析した結果、RCP2.6、RCP8.5の両シナリオにおいて、大雨注意報の発表回数が21世紀末に増加するため、ため池管理にかかる労力が増加すると予測されている。,大雨時のため池水位が設定された洪水位を超過する可能性がある。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 排水ポンプ等の施設改修を行い、排水能力を向上させることで被害の防止を図る。

将来の影響に対する対応方針

  • 引き続き、国の環境保全型農業直接支払交付金事業(第2期対策)により、国と県と市町村が協調して、地球温暖化防止対策や生物多様性保全に効果が高い農業生産活動の取組に対し支援を行っていく。
  • 病害虫の発生予察、植物防疫・農薬安全対策等に係る事業に取り組んでいる。
  • 気候変動の影響も考慮し、毎年、「秋田県植物防疫事業等の推進について」「秋田県農作物有害動植物防除実施方針」を定め、役割分担や組織体制を具体化しながら推進する。