影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 全国の湖沼における 1981~2007 年度の水温変化を調べたところ、265 観測点のうち、夏季は 76%、冬季は 94%で水温の上昇傾向が確認されている。
- また、水温の上昇に伴う水質の変化が指摘されているが、水温の変化は、現時点において必ずしも気候変動の影響と断定できるわけではないとの研究報告もある。
- 一方で、年平均気温が 10℃を超えるとアオコの発生確率が高くなる傾向を示す報告もあり、長期的な解析が今後必要である。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- RCP2.6、8.5 シナリオを用いた研究で、国内 37 のダムのうち、富栄養湖に分類されるダムが2100 年代で増加し、特に東日本での増加数が多くなる予測例がある。
- 研究は限定的であるものの、RCP8.5 シナリオを用いた場合、宍道湖、中海では、21 世紀末の表層水温、底層水温の上昇や、海面水位上昇に伴う塩分濃度の上昇が予測されている。
- RCP8.5シナリオを用いて東北地方のダムを対象にした研究では、将来の流入量の増加に伴うSS の増加によって、濁水の放流が長期化することが予測されている。ただし、気温上昇及び日射量増加が貯水池内濁水現象に与える影響は、年間湖水回転率の大小によって異なる可能性も示唆されている。
- 気候変動による降水量や降水の時空間分布の変化に伴う河川流量の変化や極端現象の頻度や強度の増加による湖沼
- ダム貯水池への影響については、具体的な予測の研究事例は確認できていない。
秋田県
- 八郎湖において、植物プランクトン(Chl.a)の増殖が早期化し、春期~夏期の濃度が上昇する可能性がある。それに伴い、CODも上昇する可能性がある。
※参考:令和元年度気候変動による水循環への影響評価・適応策検討調査業務 報告書
- 湖沼、ダム湖等の水質悪化(富栄養化)に影響する可能性がある。
気候変動適応対策
将来の影響に対する対応方針
- 「八郎湖に係る湖沼水質保全計画(現在第3期、令和2年3月策定)」に基づき、八郎湖へ流入する汚濁負荷量の削減や、アオコ対策等に努める。
- 水質汚濁防止法に基づき公共用水域の水質調査を継続する。(第3次秋田県環境基本計画(令和3年3月)に基づく施策でもある。)