影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 全国の河川の 1981~2007年度の水温変化を調べたところ、3,121観測点のうち、夏季は73%、冬季は77%で水温の上昇傾向が確認されている。
  • また、水温の上昇に伴う水質の変化も指摘されているが、河川水温の上昇は、都市活動(人工排熱や排水)や河川流量低下などにも影響されるため、気候変動による影響の程度を定量的に解析する必要がある。
  • 長良川においては、短期集中降雨の増加、大雨間隔の短期化等により土砂流出量が増加することが報告されている。
  • 平成 30 年の記録的な高潮により、淀川で塩水遡上が起こり、浄水場の原水に塩水が混入したことや、信濃川では、夏季に渇水により流量が減少したことにより塩水遡上が発生し、水門の一部が閉鎖されたことも報告されている。
  • 芦田川支流では、近年の河川流出の傾向として、流量と応答して非常に多くの栄養塩が流出する洪水期と流出量が減少する渇水期の二極化の進行を予測する研究もある。
  • 1980 年代の終わりから、気温上昇に伴う真姿の池の湧水水温の上昇が確認されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 雄物川における将来の水温変化の予測では、1994~2003年の水温が11.9℃であったのに対して、2030~2039年では12.4℃に上昇すること、特に冬季に影響が大きくなることが予測されている。
  • 2090年までに日本全国で浮遊砂量が8~24%増加することや強い台風の発生割合の増加等により9月に最も浮遊砂量が増加すること、8月の降水量が5~75%増加すると河川流量が1~20%変化し、1~30%土砂生産量が増加する可能性も予測されている。
  • 水温の上昇による DO の低下、DO の消費を伴った微生物による有機物分解反応や硝化反応の促進、植物プランクトンの増加による異臭味の増加等も予測されている。
  • 仙台平野における帯水層の温度上昇にも影響を及ぼすことが予測されている。

東北

  • 仙台平野における帯水層の温度を調査した研究では、2006年に観測された値と比較すると、地表面から 8mの深さの帯水層温度は、2080年までに 1.2〜3.3°Cの範囲内で上昇することが予測されている(A2、A1B、B1シナリオ前提とした HADCM3、MRI、ECHAM5 による気候予測情報を使用)。