影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 全国207地点の表層海水温データ(1970年代~2010年代)を解析した結果、132地点で有意な上昇傾向(平均:0.039℃/年、最小:0.001℃/年~最大:0.104℃/年)が報告されている。なお、この上昇傾向が見られた地点には、人為的な影響を受けた測定点が含まれていることに留意が必要である。
- 沖縄島沿岸域では、有意な水温上昇あるいは下降傾向は認められなかったとの研究報告もある。
- 全国 289 点の沿岸海域の pH データ(1978~2009 年)を用いて解析した結果、有意な酸性化傾向(0.0014/年~0.0024/年)にあることが確認されている。
秋田県
- 夏季~秋季には平年を大きく上回る高水温、春季~初夏には極端な低水温を記録する等、顕著な水温変化が生じている。降水についても局地的な豪雨が発生するようになり、その頻度によっては河川水の大量流入による沿岸域の塩分低下や濁水による照度低下、懸濁物の沈降と堆積による生物相への悪影響も懸念される。
- 近年の本県沿岸域の海面水温は、平年よりも高い場合が多くなっている。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- 瀬戸内海の物理・熱環境の将来変化予測を行った研究においては、RCP8.5 シナリオを前提として、夏季における昇温傾向が強く最大で 6 月の 3.58 度、最小昇温は 12 月の 2.84 度の海面温度が上昇する予測例もある。
- 伊勢湾全体の将来の水温について予測した研究では、将来 2℃以上上昇し、特に沿岸部での上昇が顕著である可能性が高い。
- 東京湾を対象とした研究では、2046~2065 年における強風(AMeDAS 観測値における南西の風速 10 m/s 以上)の継続時間は減少する可能性が示唆されており、DO 濃度の回復が困難となる恐れもあることが予測されている。
秋田県
- 現状の水温上昇傾向が持続し降水頻度が高まれば、更に影響は顕著かつ持続的となり、生物相が大きな変化を与えると想定される。
- 本県沿岸域の海面水温が現在よりも上昇する可能性がある。
気候変動適応対策
現在の影響に対する既存施策の実施状況
- 沿岸海況に関する情報提供体制を強化するため、当センターホームページには県の観測結果に加えて、大学や気象庁のウエブサイトへのリンク掲載を開始した。漁業関係者のサイト情報の活用を促し、経営の効率化や安定化に繋げたい。
- 水産振興センターにおいて本県沿岸域の水温や塩分などを定期観測しており(月1回程度)、過去と比較してどの程度水温が高くなっているのかを継続的にモニタリングしている。
将来の影響に対する対応方針
- 気象や海象変動に伴う資源変動や魚種交代、操業効率等の変化に対応しながら、その時々に獲れる魚種で十分な収益を上げ、海況や水産資源変動に対応できる漁業、流通、消費システムの確立を目指す。
- 現在、水産振興センターにおいて本県沿岸域の水温や塩分などを定期観測しており(月1回程度)、今後も継続的に観測を実施する。