影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 降水の時空間分布が変化しており、無降雨・少雨が続くこと等により日本各地で渇水が発生し、給水制限が実施されている。
  • 1980~2009 年の高山帯の融雪時期も時期が早くなる傾向があるが、流域により年変動が大きい。多雪地域である北陸などでは、冬季における融雪量が増加することが報告されており、取手川流域では、降雪現象の減少により春先の灌漑用水が不足することも示唆されている。
  • 気候変動に伴う渇水による維持用水(渇水時にも維持すべき流量)への影響、海面水位の上昇による河川河口部における海水(塩水)の遡上範囲の拡大に関しては、現時点で具体的な研究事例は確認できていない。

東北

  • 現在気候下における日本流域の水需要量に対する取水可能量の比を、水ストレスとして評価した研究では(水利用量について、蒸発量を基に河川流量の季節性を考慮して水ストレスを評価した場合)、東北・中国・九州地方で水ストレスが検出されており、離島や小流域など、流出が速く水資源管理の難しいとされる流域での水ストレスも高くなっている。

秋田県

  • 現在、工業用水では影響は出ていない。
  • 降水の時空間分布が変化しており、無降雨・少雨が続くこと等により県内各地で渇水が発生し、給水制限が実施されている。
  • 高山帯の融雪時期も時期が早くなる傾向があるが、流域により年変動が大きい。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 北日本と中部山地以外では近未来(2015~2039 年)から渇水の深刻化が予測されている。また、融雪時期の早期化による需要期の河川流量の減少、これに伴う水の需要と供給のミスマッチが生じると、水道水、農業用水、工業用水等の多くの分野に影響を与える可能性があり、社会経済的影響が大きい。
  • 海面水位の上昇による新釧路川の塩水遡上形態の変化を調査した研究では、下流付近で高濃度の塩水が恒常的に侵入する可能性があることが予測されており、河川への塩水遡上範囲が延伸した場合、河川水を利用している施設へ影響が生じる恐れがあることも予測されている。また、由良川では、21 世紀末において、河川流量が比較的多いケースにおいても、各取水場付近の塩分は現在よりも高くなり、遡上距離も延びることが予測されている。
  • このほか、現時点で定量的に予測をした研究事例は確認できていないものの、維持用水(渇水時にも維持すべき流量)等への影響、海面水位の上昇による河川河口部における海水(塩水)の遡上による取水への支障などが懸念される。

東北

  • 2075~2099年の吉野川流域、最上川流域において、RCP8.5シナリオを前提とした河川流量の変化がダム貯水池の利水運用に及ぼす影響を予測した研究によると、夏季以降のダム貯水量が低下する傾向が示されており、最上川流域白川ダムでは、融雪時期の早期化の影響により、初夏に貯水量が減少する傾向が予測されている。ただし、夏季の水位制限の存在により、多くの年では融雪時期の早期化の影響は限定的である可能性も示唆されている(MRI-AGCM3.2S の気候予測情報を使用)。

秋田県

  • 融雪時期の早期化による需要期の河川流量の減少、これに伴う水の需要と供給のミスマッチが生じると取水制限が発生する可能性がある。
  • 融雪時期の早期化による需要期の河川流量の減少、これに伴う水の需要と供給のミスマッチが生じると、水道水、農業用水、工業用水等の多くの分野に影響を与える可能性があり、社会経済的影響が大きい。

気候変動適応対策

将来の影響に対する対応方針

  • 取水制限時、ユーザーへの給水制限を含めたBCP(業務継続計画)を今後策定予定である。