影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 気候変動による日降水量や降水の時間推移の変化に伴う地下水位の変化の現状については、現時点で具体的な研究事例は確認できてない。
  • 地盤沈下が続いている地域が多数存在していることや、渇水時における過剰な地下水の採取により地盤沈下が進行することもある。特に臨海部では、地下水の過剰採取によって帯水層に海水が浸入して塩水化が生じ、水道用水や工業用水、農作物への被害等が生じている地域があることも報告されている。海面水位の上昇による地下水の塩水化の現状については、現時点で具体的な研究事例は確認できてないものの、地球温暖化に伴う海面水位の上昇や高潮氾濫、渇水の頻発化・長期化によって、小規模な島の淡水レンズ47が縮小する可能性が指摘され、また過剰揚水によって既に縮小した事例が報告されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 武蔵野台地や京都盆地を対象とし、気候変動による日降水量や降水の時間推移の変化に伴う地下水位の変化について予測した研究事例がある。黒部川流域において、21 世紀末では月降雨量及び融雪量、地下水浸透量は、11~4 月に現在より増加、5~6 月に現在より減少することが予測されており、地下水資源を活用する地域への影響が懸念される。また、胆沢川扇状地を対象にした研究では、2081~2100 年にかけて稲作の灌漑期における地下水位の低下が予測されている。
  • 渇水に伴い地下水利用が増加し、地盤沈下が生じることについては、現時点で具体的な研究事例は確認できていない。
  • 現時点で定量的に予測をした研究事例は確認できていないものの、海面水位の上昇による地下水の塩水化、取水への影響が懸念される。わが国の沖積平野にある大都市や灌漑用水としては河川水利用が多いことから、地下水塩水化による水源への影響はさほど大きくないと想定されるが、地下水を利用している自治体では、塩水化の影響は大きくなることが懸念される。

東北

  • 仙台平野では、気温の上昇や涵養率の変化による帯水層温度の上昇が予測されており、地下の温度上昇による水環境へも影響も示唆されている(SRES B1、A1B、A2 シナリオ前提とした複数の気候予測モデルによる情報を使用)。