影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 気候変動に伴う自然林・二次林の分布適域の移動や拡大の現状について、各植生帯の南限・北限付近における樹木の生活型別の現存量の変化が確認されている他、北海道の天然生針広混交林における針葉樹の成長量の経年的な減少傾向、及び広葉樹の成長量の増加傾向が確認されている。
  • 気温上昇の影響によって、過去から現在にかけて落葉広葉樹が常緑広葉樹に置き換わった可能性が高いと考えられている箇所が国内複数地域において確認されている。
  • 樹木の肥大成長について、早材成長の急速化が報告されている樹種がある。
  • 北海道の春植物においては、春の雪解けが早い年には花粉媒介昆虫の発生日よりも開花期が早まることで、送粉者とのミスマッチ(フェノロジカルミスマッチ)が発生し、結実率が低下する傾向が確認されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 冷温帯林の構成種の多くは、分布適域がより高緯度、高標高域へ移動し、分布適域が減少することが予測されている。特に、ブナ林は 21 世紀末に分布適域の面積が現在に比べて減少することが示されている。
  • 暖温帯林の構成種の多くは、分布適域が高緯度、高標高域へ移動し、分布適域が拡大することが予測されている。
  • ただし、実際の分布については、地形要因や土地利用、分布拡大の制限などにより縮小するという予測もあり、不確定要素が大きい。
  • 大気中の CO2 濃度の上昇は光合成速度や気孔反応など、樹木の生理過程に影響を与えることが予測されている。

東北

  • 白神山地のブナ林を対象に、衛星データから観測した紅葉における色の変化と、気温との対応関係をモデル化し、将来における紅葉時期の変化を予測した研究によれば、紅葉が寒冷な高標高側から始まり徐々に麓に降りてくるという空間的な変化は変わらないものの、紅葉最盛日は 11 月下旬~12 月上旬と、現在よりも遅くなることが予測されている(MIROC5 及び MRI-CGCM3 による気候予測情報を使用)。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 森吉山麓高原自然再生事業において、森吉山麓高原自然再生事業実施計画書に基づき平成18年度からブナの植樹を実施している(適応策ではなく、緩和策か。)しかし、温暖化を考慮した樹種の変更などはしていない。
    https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/57440
  • 自然公園に自然公園管理員、自然環境保全地域に自然環境保全推進員を配置し、巡視をしている。自然環境に異変がある場合には報告をいただいている。
    ※秋田県生物多様性地域戦略P.73-74参照 
    https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/56446