影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 湿原の生態系は気候変動以外の人為的な影響を強く受けており、気候変動による影響を直接的に論じた研究事例は限られている。
- 一部の湿原で、気候変動による湿度低下や蒸発散量の増加、積雪深の減少等が乾燥化をもたらした可能性が指摘されている。
東北
- 秋田県八幡平山系の山地湿原郡において、1950年代後半から2004年までの湿原の面積変化を空中写真判読により比較した研究では、特に風衝と積雪を成因とする湿原において減少の速度が大きかったことから、その要因として近年の積雪量減少による環境変化の可能性を挙げている。
秋田県
- 出穂期以降の高温の影響により、白未熟粒の発生、胴割れ粒等の発生により、品質低下が見られている。
- 出穂後の高温による品質の低下(白未熟粒の発生、一等米比率の低下等)等の影響が確認されている。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- 釧路湿原において、極端な降水の強度の増大に伴う流域からの土砂及び栄養塩の負荷量の増大が予測されている。加えて、海面水位の上昇に伴い塩水遡上距離が拡大し、湿原生態系の構成種等に影響を及ぼすことが予測されている。
- 降水量の変化や地下水位の低下により、雨水滋養型の高層湿原における植物群落への影響が予測されている。
- 現時点で定量的に予測をした研究事例としては確認できていないものの、以下のような影響が想定される。
- 日本全体の湿地面積の約8割を占める北海道の湿地への影響
- 気候変動に起因する流域負荷(土砂や栄養塩)に伴う低層湿原における湿地性草本群落から木本群落への遷移、蒸発散量の更なる増加