影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 湖沼生態系は、流域土地利用からの栄養塩負荷の影響を受けるため、気候変動の影響のみを検出しにくく、直接的に気候変動の影響を明らかにした研究は国内では限られている。
- ただし、鹿児島県の池田湖において、暖冬により循環期がなくなり、湖底の溶存酸素が低下して貧酸素化する傾向が確認されている。また、滋賀県琵琶湖におけるホンモロコ
- ニゴロブナの個体数の激減について、暖冬による循環の遅れ、及び人為的な水位操作や湖岸環境の改変等との複合作用によるものとする報告がある。
- 1900年代から 2000年代にかけて、全国の湖沼における水草の種構成が変化しており、この変化には気温及び降水パターンの変動が影響しているとの報告がある。
- 北海道の湖沼について、結氷期間の短縮や、それに伴う植物プランクトンブルームの早期化が確認されている。
秋田県
- 現時点で顕在化している気候変動影響は無い。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- 現時点で日本における影響を定量的に予測した研究事例は限られるものの、富栄養化が進行している深い湖沼では、水温の上昇による湖沼の鉛直循環の停止
- 貧酸素化と、これに伴う貝類等の底生生物への影響、富栄養化の加速が懸念される。
- 水温上昇によるアオコを形成する植物プランクトンの増加と、それに伴う水質の悪化や、水生植物の発芽後の初期成長への悪影響等が予測されている。
- 室内実験により、湖沼水温の上昇や CO2 濃度上昇が、動物プランクトンの成長量を低下させることが明らかになっている。
東北
- 気候モデルから提供される気温と降水量の将来データを用いて、水質予測モデルによる水質変化を予測した結果から、国内の特定の湖沼生態系における気候変動影響を評価した研究が確認されている。これによれば、八郎湖においては、主に降水量の変化により流入負荷量が増加し、それによる湖内の夏季での植物プランクトン量が増加する傾向が見られた。
秋田県
- 八郎湖において、植物プランクトン(Chl.a)の増殖が早期化し、春期~夏期の濃度が上昇する可能性がある。それに伴い、CODも上昇する可能性がある。 ※参考:令和元年度気候変動による水循環への影響評価・
適応策検討調査業務 報告書
- 湖沼の水質悪化(富栄養化)に影響する可能性がある。
気候変動適応対策
将来の影響に対する対応方針
- 「八郎湖に係る湖沼水質保全計画(現在第3期、令和2年3月策定)」に基づき、八郎湖へ流入する汚濁負荷量の削減や、アオコ対策等に努める。
- 水質汚濁防止法に基づき公共用水域の水質調査を継続する。(第3次秋田県環境基本計画(令和3年3月)に基づく施策でもある。)