影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 沖縄地域で、海水温の上昇により亜熱帯性サンゴの白化現象の頻度が増大している。2016年には、石垣島の石西礁湖周辺において夏季の高水温によるものと考えられる大規模な白化現象が発生している。
  • 太平洋房総半島以南と九州西岸北岸における温帯性サンゴの分布が北上している。
  • 室内実験により、造礁サンゴ種の一部において石灰化量の低下が生じている可能性が指摘されている。
  • 西表島のマングローブについて、海面水位の上昇に伴う冠水頻度の増加によるものと考えられる立ち枯れが確認されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 4 度上昇を仮定した予測では、熱帯・亜熱帯の造礁サンゴの生育に適する海域が水温上昇と海洋酸性化により日本近海から消滅すると予測されている。一方、3 度上昇を仮定した予測では、今世紀末においても生育適域が一定程度残存するとされている。生育に適した海域から外れた海域では白化等のストレスの増加や石灰化量の低下が予測されているが、その結果、至適海域から外れた既存のサンゴ礁が完全に消失するか否かについては予測がなされていない。
  • もう一つの亜熱帯沿岸域の特徴的な生態系であるマングローブについては、海面水位の上昇による分布域の縮小や内陸側への移動が予測されている。特に、後背地が構造物等で分断されている場合は、土砂の利用可能性や移動分散を妨げ、より影響が悪化するとされている。国内における将来予測の知見については現時点では限られており、気温上昇による枯死率の増加を示す予測がある一方、生理特性の温度順化により生育阻害は発生しないとする予測もあり、今後の研究が望まれる。