影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 日本周辺海域ではとくに親潮域、親潮域、黒潮域、及び混合水域において、植物プランクトンの現存量と一次生産力の減少が始まっている可能性がある。
- 海洋の亜表層域(水深 100m〜1000m)では溶存酸素量が継続的に減少していることが判明しており、日本周辺海域でもほぼ全域で亜表層の溶存酸素濃度が減少している。一方、日本周辺海域はもともと溶存酸素濃度が比較的高いことから、海洋生物への直接的な影響は一部の底魚類以外には検出されていない。
- 西部北太平洋亜寒帯域においては、近年の表層水温の上昇に伴い、暖水性のカイアシ類の分布北上が確認されている。
東北
- 日本海及びオホーツク海においては、クロロフィル濃度が継続的に増加傾向であるとの報告がある。
秋田県
- 本県沿岸では沖合を利用する回遊性魚種から沿岸の海藻種まで、暖海性種の出現や資源増大が認められる。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- 気候変動に伴い、植物プランクトンの現存量に変動が生じる可能性がある。全球では熱帯・亜熱帯海域で低下し、亜寒帯海域では増加すると予測されているが、日本周辺海域については、モデルの信頼性が低く、変化予測は現状困難である。動物プランクトンの現存量の変動についての予測も、日本周辺海域の予測の信頼性が高いとはいえない。また、これらから生じる地域毎の影響の予測は現時点では困難である。
- 日本周辺の海洋保護区について、気候変動への脆弱性を示唆する予測が確認されている。
秋田県
- 現状の水温上昇傾向が持続すれば、回遊性か定着性かを問わず、暖海性種が増加するとともに寒海性種が減少し、海域の種組成や現存量に影響を与えることが想定される。
- 気候変動の影響を予測するのは現時点で困難である。
気候変動適応対策
現在の影響に対する既存施策の実施状況
- 海水温変動をリアルタイムで観測できる体制の構築を進めているところであり、将来的な水産資源の変動や、来遊予測の技術開発を行いたい。
将来の影響に対する対応方針
- 変化する環境と生物相を的確に把握し、新たに増加する資源の利活用方法を検討していくのが現実的対応と考えている。