影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 過去 50 年間の全球的な自然生態系の変化の要因について、気候変動は陸域・海域の利用変化及び直接採取(森林伐採、漁獲等)に次ぐ要因であるとされ、加えて気候変動は他の直接的要因による影響を悪化させつつあるとの報告がある。
  • 昆虫や鳥類などにおいて、分布の北限や越冬地等が高緯度に広がるなど、気候変動による気温の上昇の影響と考えれば説明が可能な分布域の変化、ライフサイクル等の変化の事例が確認されている。ただし、気候変動以外の様々な要因も関わっているものと考えられ、どこまでが気候変動の影響かを示すことは難しい。
  • シバスズやダンダラテントウ等の一部の昆虫種については、現地調査及び過去の標本等との比較により、生活史の境界や分布北限が変化したことが明らかになっており、この変化傾向が気温変化の傾向と一致することから、気温の上昇に伴い分布を拡大した可能性が高いとされている。

秋田県

  • 個体数の増減や分布の変化などは、様々な要因が絡み合って起こるものであるため、気候変動による影響か否かを判断・評価するのは難しい。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 気候変動により、分布域の変化やライフサイクル等の変化が起こるほか、種の移動・局地的な消滅による種間相互作用の変化がさらに悪影響を引き起こすことや、生育地の分断化により気候変動に追随した分布の移動ができないなどにより、種の絶滅を招く可能性がある。2050 年までに 2℃を超える気温上昇を仮定した場合、全球で 3 割以上の種が絶滅する危険があると予想されている。
  • 渡り鳥であるハチクマについて、気候変動に伴う風向き等の変化により、現在の東シナ海上の渡り適地が将来において分断あるいは消失するとの予測がある。
  • 種の分布域が変化することで、地理的に隔離され分化が進んだ 2 つの集団の生息域が再び重複する「二次的接触」が生じる可能性についての予測も確認されている。
  • 気候変動は外来生物の分布拡大や定着を促進することが指摘されており、今後、外来生物による生態系への被害のリスクが高まることが懸念される。現時点で定量的に予測をした研究事例は限られているものの、一部の侵略的外来生物について、侵入・定着確率が気候変動により高まることが予測されている。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 秋田県版レッドリストの改訂や秋田県版レッドデータブックを公表することで、希少な野生動植物の保護や生物多様性の保全対策、各種環境調査を行う際の基礎資料として活用されている。
    ※秋田県生物多様性地域戦略P.59参照
    https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/56446
  • 秋田県生物多様性データバンクシステムにより、庁内各部署や市町村からの照会に対して、希少な野生動植物の生息情報を回答している。この情報は、公共工事などの行為地での野生動植物の生息・生育状況を事前に把握し、自然環境に配慮した施工や影響回避策(行為地の変更、規模の縮小、移植等)を行うために活用されている。
    ※秋田県生物多様性地域戦略P.59参照 
    https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/56446