影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 既往降雨データの分析によると、比較的多頻度の大雨事象については、その発生頻度が経年的に増加傾向にあることが示されている。
  • 浸水面積の経年変化は全体として減少傾向にある。この傾向を説明する主たる要因として治水対策の進展が挙げられる。一方、氾濫危険水位を超過した洪水の発生地点数は国管理河川、都道府県管理河川ともに増加傾向にあり、気候変動よる水害の頻発化・激甚化が懸念されている。
  • これまでの治水施設の整備水準は、現行計画上の目標に対して整備途上である。
  • 日本は洪水氾濫による水害に関して依然として脆弱性を抱えており、気候変動がより厳しい降雨状況をもたらすとすれば、その影響は相当に大きい可能性がある。
  • 平成 30 年 7 月豪雨においては、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったとされており、記録的な長時間の降雨に加え、短時間高強度の降雨も広範囲に発生したことにより、各地で洪水氾濫と内水氾濫が同時に発生するなどした。

秋田県

  • 人家等に甚大な浸水被害があった河川の改修や河道掘削等を計画的に進めてきているものの未だ整備途上にあるなか、気候変動の影響により降雨状況が厳しくなった場合、洪水被害が広域化、激甚化するものと懸念される。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • RCP2.6、RCP8.5シナリオなどの将来予測によれば、洪水を起こしうる大雨事象が日本の代表的な河川流域において今世紀末には現在に比べ有意に増加することが予測されている。
  • 複数の文献が、洪水を発生させる降雨量の増加割合に対して、洪水ピーク流量の増加割合、氾濫発生確率の増加割合がともに大きくなる(増幅する)ことを示している。この増幅の度合いについては、洪水ピーク流量に対して氾濫発生確率のそれがはるかに大きくなると想定される。
  • 世界や日本において、気温上昇に伴う洪水による被害の増大が予測されている。
  • 河川堤防により洪水から守られた地域(堤内地)における氾濫発生確率が有意に高まれば、水害の起こりやすさは有意に増す。
  • 海岸近くの低平地等では、海面水位の上昇が洪水氾濫の可能性を増やし、氾濫による浸水時間の長期化を招くと想定される。
  • 将来予測結果の信頼性をさらに向上させるには、それを規定する大きな要素となっている気候モデルについて、現象再現における空間解像度を向上させ、同時に計算ケースを増やすことの両立が求められる。近年では、多数のアンサンブル実験を行い極端現象の将来変化を高精度に評価するアンサンブル気候予測データセット(d2PDF、d4PDF)や、空間解像度を高くし、集中豪雨や前線性の降雨、台風規模の降雨を再現性高く評価することができる非静力学地域気候モデル(NHRCM02、NHRCM05)が開発されてきている。
  • 最大規模の台風を想定し、温暖化条件の下で起こりうる最悪の水害想定を検討する取り組みがなされている。

東北

  • RCP8.5 シナリオを前提とし、荒川流域、庄内川流域、淀川流域における2050年9月~2111年8月の最大クラス洪水(年超過確率 1/1000以下に対応する洪水)の発生について調査した研究では、過去実験の最大クラス洪水の1.5~1.8倍に増加し、最大クラス洪水も気候変動によって増加することが予測されている(d4PDFから得た降水量データを使用)。

秋田県

  • 洪水被害の激甚化、頻発化が懸念される。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築するため、平成29年度に県管理河川減災対策協議会を設置し、河川管理者が実施している堤防整備などのハード対策に加え、ソフト対策を一体的に進めてきた。
  • さらに、近年の激甚化・頻発化する水災害に備えるため、流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水災害を軽減させる流域治水を推進することを目的として、令和2年度に県内3圏域で流域治水協議会を設置した。
  • 秋田県防災ポータルサイトによる気象情報等の発信やハザードマップの周知をしている。
    秋田県防災ポータルサイト (bousai-akita.jp)

将来の影響に対する対応方針

  • 現在の影響に対する既存施策の実施状況と同様。