影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 降雨条件と土砂災害の原因となる崩壊や土石流、地すべりなどの現象の関係に関する理論的知見と、それに基づく予測手法の研究成果は十分あるので、土砂災害の誘因となる降雨条件が気候変動によってどのように変化するかが明確になれば、気候変動の土砂災害への影響に関する実態や将来予測についてはある程度正確に分析できると考えられる。
  • 気候変動の土砂災害に及ぼす影響を直接分析した研究や報告は、現時点で多くはない。しかし、最近の降雨条件と土砂災害の実態、最近発生した土砂災害、特に多数の深層崩壊や同時多発型表層崩壊・土石流、土砂・洪水氾濫による特徴的な大規模土砂災害に関する論文や報告は多く発表されている。これらの大規模土砂災害をもたらした特徴のある降雨条件が気候変動によるものであれば、気候変動による土砂災害の形態の変化が既に発生しており、今後より激甚化することが予想される。

東北

  • これまで土砂災害が少なかった東北、北海道地域にも最近豪雨による甚大な土砂災害が発生している。

秋田県

  • 本県では影響が出ていない。
  • 近年、土砂災害警戒情報の発表回数が増加する傾向にあり、土砂災害発生のリスクが高くなってきている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • 降雨条件が厳しくなるという前提の下で状況の変化が想定されるものとして以下が挙げられる。(ここで、厳しい降雨条件として、極端に降雨強度の大きい大雨及びその高降雨強度の長時間化、極端に総降雨量の大きい大雨、広域に降る大雨などを表す。)
    ①集中的な崩壊・がけ崩れ土石流等の頻発、山地や斜面周辺地域の社会生活への影響
    ②ハード対策やソフト対策の効果の相対的な低下、被害の拡大
    ③土砂・洪水氾濫の発生頻度の増加
    ④深層崩壊等の大規模現象の増加による直接的・間接的影響の長期化
    ⑤現象の大規模化、新たな土砂移動現象の顕在化による既存の土砂災害警戒区域以外への被害の拡大
    ⑥河川への土砂供給量増大による治水・利水機能の低下
    ⑦森林域で極端な大雨が発生することによる流木被害の増加

東北

  • 凍結融解回数を深度方向に積分した凍結融解強度を凍結融解特性指標として影響評価を行った研究によると、気温が2度上昇すると同一標高、同一斜面勾配、同一斜面方向の裸地斜面の凍結融解強度分布は、東北地方では凍結融解強度が下がり、凍結融解が起こらない県も増加することが示されている。

秋田県

  • 集中的な崩壊・がけ崩れ・土石流等の頻発、山地や斜面周辺地域の社会生活への影響が懸念される。
  • 森林域で極端な大雨が発生することによる流木被害の増加が予想される。
  • 土砂・洪水氾濫の発生頻度の増加や被害規模の拡大。

気候変動適応対策

現在の影響に対する既存施策の実施状況

  • 土砂災害の危険生が高まった際に、気象台と共同で住民避難の目安となる土砂災害警戒情報を発表し、市町村へ連絡している。また、土砂災害防止施設を整備すると共に、土砂災害が発生するおそれのある箇所を調査し、土砂災害警戒区域として指定し、市町村によるハザ-ドマップを整備している。
  • 秋田県防災ポータルサイトによる「秋田県土砂災害危険個所マップ」の情報発信や「ハザードマップポータルサイト」の周知をしている。
    秋田県防災ポータルサイト (bousai-akita.jp)

将来の影響に対する対応方針

  • 山地災害危険地区の危険度の高い箇所を優先に治山事業により対応する。
  • 現在の影響に対する既存施策の実施状況と同様。