影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- デング熱を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の生息域が2016年に青森県まで拡大していることが確認されている。
- 蚊媒介感染症の国内への輸入感染症例は増加傾向にあり、感染症媒介蚊の生息域や個体群密度の変化を考慮すると、輸入感染症例から国内での感染連鎖の発生が危惧される。
- 実際に、2019年9月に京都府または奈良県でデングウイルスに感染してデング熱を発症した国内感染例が確認された。デングウイルス感染者の移動により、このような散発例は国内各地で発生するリスクがある。
- ダニ等(ツツガムシ含む)により媒介される感染症(日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やつつが虫病等)についても全国的な報告件数の増加や発生地域の拡大が確認されている。
東北
- デングウイルス等の媒介生物であるヒトスジシマカの生息域は、1950 年以降、東北地方を徐々に北上し、2016 年には青森県で定着が確認されている。マダニの活動が停滞する冬季を含め、年間を通して患者が発生している。つつが虫病については、依然として多くの患者が発生しており、山形県では発生件数と前年度の平均気温・降水量・降雪量・積雪量との間に正の相関性があることが報告されている 。
秋田県
- 本県における、つつが虫病患者の発生状況は、気候変動の影響を受け感染者が増加している状況ではない。
<参考>検査実績は、2018年度59人(9人陽性)、2019年度43人(5人陽性)、2020年度42人(5人陽性)、2021年度7月末現在18人(1人陽性)となっている。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- ヒトスジシマカの分布可能域について、RCP8.5シナリオ を用いた予測では、21世紀末には気温がヒトスジシマカの生息に必要な条件に達し、北海道の一部にまで分布が広がる可能性が高い。
- また、ヒトスジシマカの吸血開始日は初春期の平均気温と相関があり、気温上昇が進めば、吸血開始日が早期化する可能性がある。
- 気温上昇が進めば、ヒトスジシマカやアカイエカの活動期間が長期化する可能性がある。
- 他にも、気温上昇により、日本脳炎を媒介する外来性の蚊の奄美・沖縄地方での分布可能域が拡大する可能性が指摘されている。
- 感染症媒介蚊以外の節足動物も気候変動の影響を受ける可能性はあるが、現時点で日本における感染症リスクの拡大に関する具体的、直接的な研究事例は確認されていない。
気候変動適応対策
現在の影響に対する既存施策の実施状況
- 検査体制を維持し、迅速な診断と県民への注意喚起・情報提供体制を継続する。