影響

これまで生じている気候変動影響

全国

  • 国民にとって身近なサクラ、イチョウ、セミ、野鳥等の動植物の生物季節の変化について報告されている。特に、サクラについては、ヒートアイランド現象と相まって、郊外に比べて、都市部で開花や花芽の成長速度が速まっていることが報告されている。
  • 生物季節の変化が国民の季節感や地域の伝統行事・観光業等に与える影響について、日光においてサクラの開花の早期化が地元の祭行事に影響を与えている事例が確認できるものの、その他の具体的な研究事例は確認されていない。
  • 地場産業については、気温上昇に伴い、例えば、兵庫県で酒米品種の検査等級・精玄米歩合の低下が生じていることや長野県で寒天産業への影響が生じていることが確認されている。

将来生じる可能がある気候変動影響

全国

  • サクラの開花及び満開期間について、将来の開花は北日本などでは早まる傾向にあるが、西南日本では遅くなる傾向にあること、また、今世紀中頃及び今世紀末には、気温の上昇により開花から満開までに必要な日数は短くなる可能性が高い。それに伴い、花見ができる日数の減少、サクラを観光資源とする地域への影響が予測されている。
  • ナンコウウメの開花期間について、3℃の気温上昇により、花粉媒介者のフェノロジーとのミスマッチが生じることで自然受粉に影響が生じ、開花期間が短縮化されるとの報告もみられる。
  • 地域独自の伝統行事や観光業・地場産業等への影響については、現時点で研究事例が限定的にしか確認できていない。