影響
これまで生じている気候変動影響
全国
- 日本の中小都市における 100 年あたりの気温上昇率が 1.5℃であるのに対し、主要な大都市の気温上昇率は 2.6~3.2℃であり、大都市においては気候変動による気温上昇にヒートアイランドの進行による気温上昇が重なっていることが確認されている。
- また、中小都市でもヒートアイランド現象が確認されている。ヒートアイランド現象により都市部で上昇気流が発生することで短期的な降水量が増加する一方、周辺地域では雲の形成が阻害され、降水量が短期的に減少する可能性があることが報告されている。
- 大都市における気温上昇の影響として、特に人々が感じる熱ストレスの増大が指摘され、熱中症リスクの増大に加え、発熱・嘔吐・脱力感による搬送者数の増加、睡眠の質の低下による睡眠障害有症率の上昇が報告されている。
秋田県
- 仙台管区気象台が作成した「東北地方の気候の変化(平成28年12月<令和2年4月一部改正>)」によれば、秋田(秋田市山王)における年平均気温の推移(1886年~2019年)において、100年当たり1.5℃の割合で上昇している。この年平均気温の上昇は、春(3~5月。1.8℃/100年)、夏(6~8月。1.3℃/100年)、秋(9~11月。1.4℃/100年)、冬(12~2月。1.3℃/100年)の全ての季節で見られている。
将来生じる可能がある気候変動影響
全国
- 国内大都市のヒートアイランドは、今後は小幅な進行にとどまると考えられるが、既に存在するヒートアイランドに気候変動による気温の上昇が加わり、気温は引き続き上昇を続ける可能性が高い。
- 気温上昇に伴い、体感指標である WGBT も上昇傾向を示す可能性が高い。全国を対象に21 世紀末の 8 月の WBGT を予測した事例RCP4.5 シナリオを使用)では、将来、暑熱環境が全国的に悪化し、特に東北地方で現在と比較して大きくなる可能性が示されている。
- 熱ストレスの増加に伴い、だるさ・疲労感・熱っぽさ・寝苦しさといった健康影響が現状より悪化し、特に昼間の気温上昇により、だるさ・疲労感がさらに増すことが予測されており、気温上昇後の温熱環境は、都市生活に大きな影響を及ぼすことが懸念される。
- 加えて、熱ストレスが増加することで労働生産性が低下し、労働時間の経済損失が発生することが予測される。
秋田県
- 仙台管区気象台が作成した「東北地方の地球温暖化予測情報(平成31年2月<令和2年6月一部修正>)及び秋田地方気象台が作成した「秋田県の21世紀末の気候(平成31年2月発行)」によれば、このまま温室効果ガス排出削減対策が殆ど進まず、地球温暖化が最も進行する場合(IPCC第5次評価報告書における「RCP8.5シナリオ」に沿って進んだ場合)、現在気候(20世紀末:1980~1999年の20年平均値)と,将来気候(21世紀末:2076~2095年の20年平均値)との差違から、以下のようなシミュレーションが成されている。①年平均気温:100年で約4.6℃が上昇する。②猛暑日:100年で9.9日増加、真夏日:42.6日増加、夏日:56.7日増加、熱帯夜:28.7日増加、冬日:約72日減少、真冬日:22.2日減少。③無降水日(日降水量1mm未満)、激しい雨(1時間降水量30mm以上)の日数がいずれも増加傾向。
気候変動適応対策
現在の影響に対する既存施策の実施状況
将来の影響に対する対応方針
- 年平均気温及び猛暑日等の増加を阻むためには、気候変動予測シナリオ「RCP2.6(将来の気温上昇を産業革命前の気温に比して2℃以下に抑えるという目標)」レベルまで、温室効果ガス排出量の削減(緩和策)を行う必要がある。そのため、地球温暖化問題の重要性について県民の理解を深め、地球温暖化防止に向けた取組を促進するよう気候変動に係る情報提供・意識啓発の施策を進める。