横堀地域づくり協議会 会長 桜井勝雄さん

サムネイル:【横堀地域づくり協議会】「おしら様のシダレザクラ」 樹齢200年超の老木を守り、活かすエコ活動【環境保全活動の取り組み】(YouTubeへ移動します)

湯沢市横堀地域の白山神社隣接地に、200年以上にわたり花を咲かせ、「おしら様の枝垂れ桜」の愛称で親しまれるシダレザクラの老木があります。高さ約15メートル、枝張り約20メートルのサクラの木を地域のシンボルとして住民が集い、役内川の桜並木の管理保全活動などの地域づくりを展開する「横堀地域づくり協議会」(湯沢市)会長の桜井勝雄さんに話を聞きました。

協議会について教えてください

写真:枝垂れ桜

湯沢市横堀赤塚地区の白山神社隣接地に佇む 「おしら様の枝垂れ桜」は、私たちの地域の中心にあるものです。それまでは、おしら様の枝垂れ桜を管理するための十分な体制がなかったことから、維持管理を担うためにも団体は必要でした。そこで、おしら様の枝垂れ桜を中心に、2005(平成17)年、地域の皆さんが集まって協議会を発足しました。その後、役内川の桜並木清掃活動などに範囲を広げて地域づくりに取り組んでいます。 現在、横堀地域の8町内会の代表者などボランティア40数名が、サクラを維持する環境部会など部会ごとに活動しています。観音様のある寺沢公園の整備も手掛けていますが、 公園から見下ろす役内川の桜並木はきれいなものですよ。

協議会の活動について詳しく教えてください

写真:桜チップ

当地域は豪雪地帯です。積雪による枝折れを防ぐため、おしら様の枝垂れ桜には冬囲いなどの越冬作業が必要です。積雪時には、梯子(はしご)をかけて枝の雪下し作業を行います。通常は1シーズンに1回ですが、大雪の年には2回行うこともあります。また、老木のため成長が弱まっています。樹木医の診断を受けたところ、土壌の改良が必要とのことでしたので、樹勢を保つために昨年は10回に及ぶ消毒や施肥などの作業を行いました。その甲斐あって、今年は見事な花を咲かせました。
旧雄勝町の当地域を走る国道108号線沿いの役内川周辺に、約3キロメートル にわたる220本の桜並木があります。かつて、全国的に地域の公園や学校敷地内にサクラを植える取り組みが行われました。それから80年ほど経つため、保全活動が必要になっています。並木周辺の雑草を刈る作業や木の剪定作業などもありますが、やはり積雪などにより折れたり、傷んだりしてしまう枝があるため、春には大量の枝の扱いが問題になります。
そこで、枝を細分して新たな資源「桜チップ」として活用する事業に取り組んでいます。
おしら様の枝垂れ桜や並木220本の全てに、チップを肥料と共に散布したり、チップを燻製づくりの燃料として活用したりしています。当会の菜園で収穫したダイコンやニンジンなどを燻製料理にして市民の皆さんに振舞ったり、河川に親しむ会(湯沢市河川愛護会主催)に出向いて川魚の燻製づくりのレシピと桜チップを進呈したり、市民向けサロンで燻製づくりを楽しんだりしています。地域の皆さんの協力を得て、エコ活動の必要性を説明しながら取り組んでいるところです。

地域の皆さんとの関わりはどのようなものですか?

写真:市民向けサロン

地域住民が参加する場としては、おしら様の観桜会のほか、横堀交流センターで週3回ほど開く市民向けサロンがあります。そこで、活動状況や情報を共有していますが、皆さんは楽しみながら参加されているようですよ。
少子化にあって、団体や町内ごとの子どもが数人しかい状況です。そこで、当会では、子どもが体験する機会の減った畑作りや芋掘り、サクラの枝を使った鉛筆づくりなど、子どもたちの将来に役立つ機会を作るようにしています。小学生・中学生の勉強会など、子どもたちとのコミュニケーションを大切に考えています。

写真:チップ加工機

近年、企業の協力も得られるようになってきました。桜並木のある108号線沿いには約10社の企業があります。私たちの活動を知って声を掛けてくれる企業も現れています。年3回ほどの草刈りなど、国道沿いの環境整備と合わせてサクラの維持管理へ向けた支援をいただいています。
また、役内川の桜並木環境整備事業は、昨年と今年、認定NPО法人環境あきた県民フォーラムの「環境あきたエコ活動支援助成金」に採択されました。草刈り機やチップ加工機などを導入することができ、活動を持続することができています。

協議会の活動の効果とこれからについて教えてください

写真:桜井さん

2015(平成27年)度に終わりましたが、国道沿いで大工事が行われたことによる周辺環境の変化もあります。また、並木を維持するためには、数年ごとに10本程度の老木の入れ替えも必要になってきます。これらの対応は、当協議会だけでは難しいため、地元の商工会など地域の皆さんや行政と一緒に取り組んでいくことが必要です。
当協議会の立ち上げ当初は、ボランティア活動にこれほどの皆さんが集まるとは思いませんでした。高齢により辞めるメンバーはいますが、新たなメンバーが入るため、会員数は減っていません。取り組みを継続することで地域に団結力が育まれ、エコ活動や地域づくりへの関心が高まります。市の職員もボランティアに参加してくれています。
私たちの地域づくりは、やはり、おしら様の枝垂れ桜を全県・全国の人に見てもらうことが大きな喜びにつながります。先人が残してくれた地域の宝を「守り」「活用して」「良好な状態で次の世代へ引き継ぐ」こと。地域の皆さんと一緒に後進に伝えながら、これからも取り組みを続けていければと思っています。

取材先

横堀地域づくり協議会