株式会社ウッディさんない 高橋嘉男さん

サムネイル:【株式会社ウッディさんない】豊かな森林資源を活かす環境保全【環境保全活動の取り組み】(YouTubeへ移動します)

秋田県と岩手県の県境に位置する、秋田県横手市山内を拠点に営業する「株式会社ウッディさんない」。市面積の半分ほどを占める豊かな森林資源を活かした事業を展開しながら、自然環境の保全に貢献しています。同社専務取締役の高橋嘉男さんに話をうかがいました。

事業内容について教えてください

写真:ウッディさんない店舗外観

旧山内村の第三セクターとして、1993(平成5)年の設立以来、当地の森林資源を活用した製品の開発や、木材の加工、設計・施工まで行っています。自社で設計したものは自社で作り、自社で現場に設置することまでを担うのが当社の役割と考えています。無垢材を中心に使い、木材そのものを製品化する「オールウッド」にこだわっています。2000(平成12)年からは、国道107号線沿いの「道の駅さんない」を管理・運営しています。木材ならではの柔らかさを前面に出した売り場環境を整えるなどして、地元の農家さんや生産者が、特産のいぶりがっこや芋の子、野菜類などを直売しています。道の駅の向いには、木材加工施設と事務所兼店鋪「ウッディプラザ・木の香」を設け、一帯を「ウッディゾーン」と呼んで、地域の活性化へ向けて運営しています。

具体的な活動を教えてください

写真:具体的な活動について語る高橋嘉男さん

東日本大震災の津波により流されてしまった防風林・防災林があります。当社が携わった、木材量で数百万立方メートルにおよぶ再生事業では、金物を使って組み立てられることが一般的な防風柵をオールウッドで施工しました。これに付随して設置した、植栽された木の苗の活着をうながすための防風垣も一部オールウッド工法で採用されました。当社の木製品で施工した県内の公園など施設の遊歩道や階段なども少なくありません。

貴社の事業における自然環境やSDGsとの関わりについて教えてください

写真:横手J-クレジット

環境問題については、木材を扱う会社として設立当初から大事に考えています。地球温暖化の原因である二酸化炭素は、森林が吸収します。しかし、間伐や下草刈りなどの手入れを行わないと、森林の機能は十分に発揮されません。取り組んでいるのは、「間伐材を使うこと」「森林の整備により二酸化炭素を削減すること」「カーボン・オフセット(※1)の活用」などです。秋田県の林業は、日本三大美林の一つ「秋田杉」を育てています。建築用材として富貴な木材を使いますが、それだけでは、小径木や根曲がり材などは処分されてしまいます。間伐材も捨てることなく、数十年かけて育てた資源として新たな息を吹き入れて世に出すことを考えています。
カーボン・オフセットについては、「横手J-クレジット」(※2)の仕組みを利用し、2017(平成29)年に5トンを活用しています。

こちらは災害関連製品ですが、東日本大震災の避難所では、木材を燃やして暖をとったり、煮炊きをしたりしたという話を多く聞きました。そこで、当社では、災害時に人命を守り、被害を軽減する製品として、地震の揺れにより自壊する木製ブロック「木兵衛」を開発しました。東京都で開かれる木材製品展示商談会「WOODコレクション(モクコレ)」にも出展し、ウッドデザイン賞2022を受賞するなど高い評価をいただきました。一般家庭のほか、友好都市の岩手県釜石市や茨城県那珂市には、横手市の森林環境譲与税の制度を使い設置しています。

秋田県からリサイクル製品として認定された製品もありますね

写真:自然素材として使用する木材

現在、当社製品のうち8品目が、秋田県からリサイクル製品に認定されています。副資材の選定などに苦労もありますが、当社の製品は、地球・環境・人に優しい自然素材としての木材を使います。土木資材や公園資材なども、環境に負荷のかからない製品を開発しています。

秋田県立大学との連携事業も見られますね

写真:クマ忌避杭「ストップベア」

専門的な分野は、大学と連携して製品開発に当たることもあります。近年、ツキノワグマが人里に下りてくることによる被害が増えているため、2017(平成29)年から秋田県立大学の野田龍准教授と共同で、クマの侵入を防ぐ木製杭(くい)の研究を行いました。山の獣道や果樹園などに試作の柵とセンサーカメラを設けて4年ほどかけて調査したところ、クマが柵を避けていることが分かりました。このようにして開発したのがクマ忌避杭「ストップベア」です。すでに県内外から発注があり、駆除するだけではない対策として効果が認められています。これまでのところ、設置した場所にクマが現れた形跡はないようです。

「木育(もくいく)」などの啓発にも取り組んでいますね

写真:「木育」事業の様子

横手市は、小学生を中心に「木育」事業に取り組んでいます。木育の講座では、当社製品のスギ間伐材を活用した木製工作キットが使われています。市が受講者を募集したところ、想定を上回る60組ほどの親子から応募がありました。私は地元の小学校の運営協議委員も務めているため、森林の役割や木材が環境に与える影響などについて、学習林を使って子どもたちに伝えています。緑豊かな環境に囲まれた地域で育つ子どもたちには、環境問題に関心を寄せることのできる社会人になってもらいたいものです。

秋田の環境のこれまでとこれからについて、どのように考えていますか

写真:秋田の環境のこれまでとこれからにについて語る高橋嘉男さん

人口減少など課題も多いですが、秋田県には全国屈指の面積を有する人工林があります。私たちは、山があって、川があって、自然が当たり前にある生活をしています。しかし、このような環境がいつまで続くのか、そして、続けるために私たちがやらなければならないことは何なのかについて、真剣に考える必要があります。私たちが環境に恵まれた秋田で生活していることに誇りを持てるよう、環境に対する意識をしっかり持って活動していきたいと考えています。

※1 「カーボン・オフセット」とは、日常生活や企業活動で排出される二酸化炭素(カーボン)のうち、削減できない分を森林整備などへの投資・寄付により埋合わせる(オフセット)仕組み。
※2 「J-クレジット」とは、森林が持つ二酸化炭素吸収能力のうち、国の機関によって認証された信頼性の高いもので、「カーボン・オフセット」を目的に取引される。「横手J-クレジット」は、横手市と横手市森林組合で組織する「横手市・森林組合森林吸収共同プロジェクト推進協議会」が運営する。