三又建設株式会社 代表取締役 下タ村正樹さん

サムネイル:【秋田ウッド株式会社】廃プラスチック・廃木材を活用したリサイクル製品【環境保全活動の取り組み】(YouTubeへ移動します)

 1948年(昭和23年)に「里山に電気の明かりを灯したい」という地域の熱い思いを受けて、三又製材所として創業し、横手市を拠点に、地域の豊かな自然と共生しながら事業を拡大し、現在では建設、製材、森林、環境事業を統合した企業として地域社会に貢献しています。

 秋田の豊かな森林資源を最大限に活用し、地域内で循環させる事業モデルが、他の地域でも応用可能なサステナブルな取り組みとして注目を集める「三又建設株式会社」代表取締役の下タ村正樹さんにお話を伺いました。

事業内容について教えてください

写真:自社ブランド「AO-M Wood(エーオーエムウッド)」で製造されている再生有機系建材
 弊社は、地元資源である秋田スギを活用した事業を核に、多角的な事業を展開しています。「森林から建築、解体まで」を一貫して自社で手掛けることが大きな強みです。
 ○建設事業
  道路、河川、橋梁などの土木工事や、木造住宅、公共建築物の建設、リフォーム、増改
 築、解体まで幅広く対応しています。
  また、道路や河川の維持や冬期における県道の除排雪も行っています。
 ○森林事業
  植林や間伐、下刈りなどの森林整備から、林道建設、伐採までを行っています。
  伐採した木材を自社の製材工場で製品化できるのが特徴です。
 ○製材事業
  JAS(日本農林規格)認定工場として、構造用や造作用、下地用の高品質な木材を製
 材・販売しています。
  横手市内で唯一、乾燥秋田スギ認証製品を生産できる工場でもあります。
 ○環境事業
  製材時に出る杉皮を活用した防草マットの製造・販売や新商品の開発など、環境に配慮
 した取り組みを行っています。

御社では、自然素材でできた環境にやさしい「杉皮防草マット」を開発・販売していますが、防草マットはどのようなものでしょうか

写真:建築解体現場などから出る廃木材を300ミクロンのサイズまで粉砕しサイクル原料100%のペレットで製造しています
 この杉皮防草マットは、製材工場で発生する杉の皮を原材料とした、環境に優しい防草資材です。原材料のすべてが天然素材(杉皮、麻シート、でんぷん糊、分解性糸)でできており、使用後は土に還るため、ビニール製やゴム製の防草シートとは違い、使用後に廃棄物が出ず、廃棄費用もかかりません。
 また、杉皮に含まれる植物の成長を阻害する成分と、光を99%以上遮断する効果で、雑草の発生を抑制するほか、敷設することで植林後の下刈りや、道路・河川敷の除草作業を大幅に減らすことができます。特に植林地では、若木の間違った伐採を防ぐ効果もあります。
 敷設するだけで、草むしりや除草剤散布といった作業の手間を大幅に削減でき、大切な時間と労力を節約し、美しい環境を保つことができます。
 この製品は、通常廃棄される杉皮を有効活用したもので、秋田県認定リサイクル製品に指定されています。

県内の自然環境について感じていることや、考えていることを教えてください

写真:自然環境について考えを語る三浦功達さん

 地域の子ども達やその親世代が、身近にある自然に関心を持たなくなり、当たり前にある景色は、実はそこに暮らす人たちが代々維持してきたという事すらも知らない現状を危惧しています。

事業のこれからについて教えてください

写真:全国の公園など公共施設でも使われる様子

 環境事業の新商品で、近年の害獣被害を防ぐため、植物成分を活用した害獣忌避製品(杉皮防草忌避マット)の開発、常在菌や自然由来の忌避物質を利用し、植物の成長を抑制する製品の試験研究を進めており、いずれは販売に繋げていきたいと考えています。

御社は地域活動に取り組まれていますね

写真:工場内で製品が製造されていく様子
 弊社では、「里山に電気の明かりを灯したい」という創業理念のもと、地域に深く根ざした社会貢献活動を積極的に行っています。
 「あきたクリーンパートナー」、「アダプト・プログラム」、「横手市公共施設市民サポーター」として、国道107号線などの道路や河川敷などの清掃活動を定期的に実施しているほか、降雪期には横手市山内地域の県道の除排雪を行うなど、地域の安全な生活を守るためのインフラ維持にも貢献しています。
 また、交通安全推進のため「歩行者ファースト推進モデル事業所」にも指定されています。
 これらの活動は、弊社の経営理念「Create a Smile 笑顔創造企業をめざして」を体現するもので、社員一人ひとりが地域住民としても積極的に参加しています。

御社は秋田県のSDGsパートナーに登録されていますね

 弊社は秋田県SDGsパートナーとして、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献しています。 
 私たちは、故郷の豊かな自然を守りながら、笑顔あふれる未来を築くために、さまざまな取り組みを進めています。
○地元の資源を活かす「循環型事業」
 製材事業で発生する杉の皮を再利用した「杉皮防草マット」を開発・販売し、廃棄物の削減と資源の有効活用に取り組んでいます。これは、「つくる責任、つかう責任」というSDGs目標12に貢献するものです。
 また、地元の秋田スギを積極的に活用し、適切な森林管理を推進することで、「陸の豊かさも守ろう」という目標15にも貢献しています。
○誰もが活躍できる「働きやすい職場づくり」
 性別に関係なく、誰もが働きやすい環境を目指す「男女イキイキ職場」を宣言しており、性別に関係なく、誰もが働きやすい職場環境の整備を進めています。これは、「ジェンダー平等を実現しよう」という目標5に関連します。
 さらに、社員の健康増進を目指す「健康経営」を推進し、社員が健康で生き生きと働ける環境づくりに努めており、「働きがいも経済成長も」という目標8の達成に貢献しています。
○地域社会を守る「強い絆」
 豪雨や豪雪といった災害に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、地方自治体との防災協定を締結することで、地域の防災力向上に貢献しています。これは、「住み続けられるまちづくりを」という目標11に貢献するものです。
 また、定期的な清掃活動や子育て支援など、地域との連携を深めることで、「パートナーシップで目標を達成しよう」という目標17を目指しています。
 これからも「森と街と人」を未来につなぐ企業として、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

秋田県の環境大賞を受賞されました!

 長年にわたるクリーンアップ活動や製材事業で発生し廃棄処分していた「杉皮」を杉皮防草マットの原材料として再利用し、廃棄物をゼロにした活動を評価していただき、秋田県環境大賞を受賞できた事を大変光栄に感じています。

 今回の受賞は、事業活動を通じて環境保全に貢献してきた弊社の取り組みを更に加速させる大きな励みにもなりましたし、全社員の励みにもなりました。

 今後も、地域の資源を活かした新たな製品の開発や環境保全活動に積極的に取り組んで参ります。

県民へのメッセージをお願いします

 秋田県の豊富な森林資源は、貴重な財です。水源としてはもちろん、自然災害を防ぎ、豊かな恵みをもたらします。あなたの身近な森林に関心を寄せ、ふるさとの自然の素晴らしさを五感で体験していただきたいと思います。

 先人が託してくれたこの森を、次の世代により良い形で引き継いでいくのが私たちの役目だと思います。皆さんと一緒に、身近な環境を守るために小さなことでも継続して取り組んでいきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。